版画 (3)
■額装

版画の最終回でもある今回は、
「額装」についてです。
業者まかせになりがちな額装を、
少し掘り下げてご案内いたします。

 
 
 版画の最終回。「額装」について勉強しよう!
 「額装」は知ってるよね?
 
 はい。
 でも、あまり詳しくは。。。
 業者さんにお任せするものでしょう?
 

 
 そうだね。業者に頼むのが安全だね。
 でも、依頼するこちら側も知識があった方がより安心できるでしょう?
 残念な事に版画の事を考えずに、
 望ましくない作業を行う業者も中にはいるからね。
 

 

 
 え〜!!そうなんですか?!

 

 
 うん。
 それじゃ、裏板・台紙マットとの関係から説明しよう!
 


 
裏板・台紙マット関係について
  
 (1)セロテープ、ガムテープを使用しない   
   テープの接着剤がしみを作る原因になる。
   付いてしまったしみは修復しても、完全には取れない事が多い。
   シートに直接セロテープやガムテープを貼る事は避ける。
   ただし、自然ののりを使用したテープは使用可。

 (2)裏板について   
   裏板には、ベニヤ板(ラワン材の合板)や
   ボード(パーティクルボード)や集成材といった
   木材に加工を加えた改良木材を使用されることが今では一般的になっている。
   コストや耐久性を考慮に入れると現実的な選択といえるが、
   古典版画などのデリケートな作品を所蔵する美術館等では、
   これらの改良木材を敬遠し天然板を仕様するむきもある。
   しかし、天然板、改良木材のどちらを使用するにせよ、
   裏板と版画の間に中性紙か和紙を挟み、
   裏板と版画が直接触れることを避けることが大事。

 (3)台紙マットの素材に目を向ける   
   マットは直接シートにふれるので、その素材には極力注意したい。
   中性紙や脱色などの薬剤加工を加えていない布製ものが良い。

 

 続けてどんどん行くよ。
 アキちゃん大丈夫?

 
 はいっ!
   

 
 アキちゃん、3回めともなると大分飲み込みが早くなってきたね。
 

 
 えへへっ。
 先生のおかげですぅ♪
   
  それじゃ額装についてもう少し深く説明しよう。

 
台紙マットと版画の固定の仕方
  
 台紙(中性紙)を1cm幅(作品の大きさによって変わる)に切り、
 それにヤマトのりを薄めたものを塗ってテープ加工したものを使う。
 しかし、ヤマトのりにも防腐剤が入っているので
 牛乳やカルピス原液くらいさらさらになるまで、
 水で薄めたものを使用しなくてはいけない。

 

 
接着剤について
  
(1)ヤマトのり:
    防腐剤が入っているが、かなり薄めて使用するので
    一般的に広く使用されている。

(2)正(生)麩のり:
   でんぷんを煮詰め、それを瓶に入れて2年程寝かせる。
   寝かせたものの表面にはカビが生えるが、
   そのカビがさらにより良いのりへと変化させていく。
   それを牛乳やカルピスの原液ぐらいさらさらになるまで精製水で
   薄めたものを使用する。
   しかし、これは国宝級のものを扱うような表具屋さんでしか
   行われていないものなので、一般的とは言えない。

 

 
額装時の注意事項

  
 作品とガラスは密着させない事。

(1)額の中で空気を流通させるため

(2)接触していると、絵の具がガラスについてしまう場合がある。
   版画絵の具は乾いているように見えても、完全に乾いていない場合がある。
   マットや桟で必ず浮かせる事。


 
 
アクリル・ガラス関係
について

(1) ガラスは避ける事
    割れるから。
    何かの拍子に割れてしまうと絵に傷がついてしまう場合がある。
    UVカット加工のガラスは種類も少ない。

(2) アクリルがおすすめ
    アクリルの方がUVカット加工製品が多い。
    ただ、アクリルの方が値段が高くなる。

 

 

 どうだい?
 きめ細かい気配りが必要なことだってわかったかい?

 
 はいっ。
 特に国宝級の接着剤が2年もかかるなんて。。。すごいですね。
   

 うん。
 そういう手間暇をかけて、後生に残していくんだよ。
 ここらへんで、「修復について」を学芸員からのアドバイスをまじえて紹介するよ。
 ためになるから、よく頭に入れておくようにね。

 
 はぁ〜い。

 
その他の注意事項
  
(1)作品を絶対に素手で触らない事。綿の手袋をしてから扱いましょう。

(2)腕時計や指輪を必ずはずす事。作品に傷をつけてしまう恐れがあります。

(3)折り曲げたり、丸めたりしない事。

(4)作品をむやみにカットしてサイズを変えない事。作品の価値が下がります。
   中には前の持ち主が加工を施している場合があります。
   額装されてしまっていると、気がつかない事があるので
   購入する時には注意する事。

(5)作品証明書はきちんと保管をしておく事。
   作品の価値を証明してくれる物です。

 


 
学芸員からのアドバイス

  
  きちんとした修復を行わないと作品の価値が下がってしまいますよ。
  少しのしわ等は味だと受けとめる事。

(1)版画はむやみに裏打ちをする等ポスター感覚でしわや波打ちを直すのはダメ。
   かなり古くても希少価値の高い作品で紙がもたない等、
   よっぽどの理由が無い限り行わない。
   オークションでも価値が下がってしまいます。

(2)銅版画のプレートマーク(版が押された跡)が修復でなくなってしまうと、
   傷物になってしまう。これもオークションで価値が下がってしまいます。

(3)しわ等の修復費は修復屋さんや技法、種類によっても変わりますが、
   表価格のだいたい2割くらい。

 

 

 今回は版画の最終回だけれども、
 3回をとおして勉強してみてどうだったかな?

 
 すっごく、ためになりました。
 ありがとうございました。
   

 また機会があったらいっしょに勉強しましょう。

 
 はい!
 その時はまたよろしくお願いしま〜す。




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