今回のarch-club.netでは、2004年1〜2月に開催されました
『KAGAYA来場展』トークショー&サイン会(東京・ルミネ北千住店 2004.2.21)をご紹介致します。

新作紹介をはじめ、人類初の南極大陸・皆既日食観測体験秘話やKAGAYA星誕生秘話、そして宇宙的規模にまで広がる究極の夢のお話など等、KAGAYAワールド満載でお届け致します。
どうぞ、お楽しみ下さい。










この作品は、宮澤賢治・不朽の名作『銀河鉄道の夜』のお話をモチーフに描いています。
小学生の頃、母に読んでもらったのがきっかけでこのお話の虜になった私は、何度も読み返しては車窓から見える風景を繰り返し想像し、いつか絵本(お話に絵を描く)を出せたらという夢を抱くようになりました。

この作品群を描くにあたって一番大切にしていた事は、原作の文章そのものなんです。このお話の原風景になったであろう宮澤賢治さんの生まれ育った岩手県花巻市(大正時代の風景)に何度も足を運び、銀河のモデルとなった北上川の風景を四季を通して眺め、昔、走っていた機関車について調べる等しながら、一文一文丁寧に読んではそこに一体何が書いてあるのかを詳しく調べて描いてきました。文章からは、車窓から見る風景が暗黒の宇宙空間ではなく、私達が日頃見慣れている森や川、植物等が星の光で出来た風景に変わったもので、天の川の岸辺を走るとどんな風景が見えるんだろうというお話だという事が分かります。だから私も、このシリーズは光っているものを描く要領で表現してきました。
今、私の最大の目標は、『銀河鉄道の夜』全編に絵を付け、原作の文章と共に楽しんで頂く絵本を作る事ですね。











皆さんに“KAGAYA”という名前の星が生まれた事をご報告します。
私達が住む太陽系には何万個もの小惑星が太陽の周りを回っていて、小惑星は発見された順に名前が付いて行きます。大昔に発見されたものには、ギリシャ神話に登場する神様や歴史上の有名な人物(クレオパトラ、ニュートン等)の名前が付いたものもあるんですが、何と今回、子供の頃から憧れて見ていた星に私の本名“加賀谷穣”が付いたんです。

この星は北海道のある天文台で発見されたものですが、この度、天体写真家の藤井旭先生の推薦により国際天文連合に承認されました。国際天文連合で承認されると学術用語となるので、永久に星と共に名前が残る訳です。
そこで、色々想像する事が好きな私は「冒険心のある私の曾孫が宇宙船をチャーターし、お爺さんの名前の付いた星に着陸したら」とか。「太陽系を自由に行き来出来る時代がやって来て、未来人のある家族がピクニックへ行った星の説明書きには“21世紀に活躍した絵描き”と書いてあるのかな」とか。この小惑星をネタに夢を膨らませ、毎日楽しく過ごしています。









































遂に実現!南極旅行

私は地球上で一番行くのが難しい南極にさえ行ければ、世界中何処だって行けるんじゃないかと思っていましたが、遂に昨年11月、観測隊のメンバーとして南極へ行く(ロシア製の飛行機で)事が出来ました。

地球上で一番寒い場所なんですが、11月(南半球は日本と季節が逆)は比較的暖かい初夏(最高気温0度。最低気温−20度位)にあたります。実は夏の南極の太陽は一日中沈まないので、太陽の光と氷との照り返しで凄く紫外線が強いため、観測隊員が着るこのジャケットとサングラスが必要になります。そして、一寸でも肌が見えると焼けてしまうので、顔には日焼け止めを塗って完全防備です。


忘れられない味

子供の頃から南極に行ったら“カキ氷(南極の氷で作った)”を食べてみたいと思っていたんですが、今回実現しました。南極の氷がキラキラ光って見えるのは、何万年も前から降り積もった雪の中で圧縮され、泡粒となった大昔の空気が一緒に封じ込められているからなんです。だから、その氷で作ったカキ氷を食べるという事は、何万年も前の空気と一緒に食べているという事になるので、忘れられない味がしましたね。この時、本当に子供のように喜んでメロン味(日本から持参したシロップ)のカキ氷を6杯もおかわりしたので、お腹は壊さなかったんですが寒くなってしまいました。

人類初の観測

南極には
【皆既日食】を見に行ったんです。この現象は1〜2年に1回、地球上の色んな場所で見られますが、今回たまたま南極で見れたんです。南極で皆既日食を見たのは私達が人類初の事で、テレビでご覧になった方もいらっしゃるかなと思います。日食当日は見事に晴れ渡り、天候にも恵まれました。【夏の南極の太陽】は一日中沈まないので、真夜中に起こった皆既日食も白夜のため昼間のように明るく、太陽がうんと低いので山や自分の影が長く氷の野原に映って、とても幻想的でしたね。太陽がだんだん月に隠されて行き完全に隠れると、突然夜になります。空には星も見え、360度ずっと水平線がオレンジ色に光り、普段は見えないコロナもこの瞬間だけは肉眼で見られる、とても不思議な景色でした。ここにコロナと人間が写っていますけど、実は私なんです。
私の300mぐらい後ろにいたアメリカの観測隊員が偶然撮ったもので、皆既日食のコロナと人物が同時に写っている写真はもの凄く珍しいため、NASAのホームページにも載っていたくらいなんですよ。憧れの南極大陸で、しかもとっても珍しい皆既日食を見ている瞬間を撮ってもらった人生の記念写真なので、私の遺影にしようかと思っています(笑)。















憧れの月への想い

私の最大の夢は月に行く事なんです。子供の頃から、ただ見上げるのも、望遠鏡で月の細かい部分(隕石がぶつかって出来たクレーターや山、谷といった色んな地形)を見るのも大好きで、いつもいつか行ってみたいなと眺めています。もし行けたら、月から地球を望遠鏡で眺めてみたいですね。自分が今まで行った場所。今回行く事が出来た南極大陸。これから自分が出掛ける色んな地球の場所。今までの人生が、その丸い小さな惑星の中の出来事だったんだと望遠鏡の中に収めて見る事が出来たら、とても感慨深いんじゃないかなと思います。

理想の地球の姿を求めて

私は世界中の色々な素晴らしい場所を見ていますが、その美しい自然、海や山が何千年経っても残っていて欲しいという夢を持っています。遙か未来、人間がもっと平和で平穏に暮らし、地球がもっと自然の状態に返っている理想的な地球を毎日想像し、それを作品化したのが
セレスティアル・エクスプローリングのシリーズです。イルカとの対話、南の空、南の島の海に浮かぶ様子は何千年も未来にこういう理想の地球の姿がやって来たらいいなという夢を託しているのです。
これが私の究極の夢であり、日頃考え取り組んでいる作品のテーマでもあります。











 
私は世界中を旅して、そこで巡り会った様々な感動体験(素晴らしいと思った景色、出会った感動)を絵にし、皆さんとその世界を共有出来たら嬉しいなと思いながら描いています。そして、私の描いた絵を見て下さった方から、励ましのお言葉やご感想を頂ける事がもの凄く私の力になっています。

今日も皆さんお一人お一人とお話をする事でエネルギーを沢山頂き、制作意欲がとても大きくなりました。今年も沢山の作品を描いていくと思いますが、皆さんのお陰です。
今日は本当に有難うございました。