「生命」について(紫綬褒章受賞記念描き下ろし作品)
私にとって、描いた登場人物(キャラクター)は全部我が子なんです。我が子というのは自分の命を受け継ぎ、生き続けてくれるものだという想いがあるので、「生命(いのち)」というタイトルをつけました。
私は、人の死というのは一人も記憶している人がいなくなった時に初めて訪れると考えています。ですから、自分が生んだ子供達が皆さんに記憶されていれば死んだ事にはならない。夢をかけて世代を超えて、なんとか生きていきたいと思うのはそういう事なんですね。だから本当の事をいえば、キャラクター全部に「生命」とタイトルをつけたいぐらいですね。

「青春の夢」について
自分自身もそうでしたけど “青春”というのは、人生の中で一番お金があるなしとか立場がどうこうっていうんじゃなくて、一番華やかでかつ貴重な宝石のような時期です。ですから、その想いが全部「青春」という言葉に圧縮されて中に入ってるという想いがあるんです。

 
私は18歳の時に、トランクひとつ(画材だけを詰めた)で銀河鉄道999と同じ汽車で旅立ち(北九州・小倉から)ました。あの汽車に乗らなかったら、自分は存在しないんですね。私はその汽車の席にじっと座りながら、向こう側の窓の所に前方をじっと見るメーテルの様な女性がいて、その後ろを星が動いてるような場面を空想してたんですね。その時、「こういう場面のあるマンガ、アニメーションを必ずやるぞ」と、自分もまた夢を描いてたんです。それが実現したのが999。ですから、メーテルは文字通り私にとっては青春の幻影で、その当時は自分自身が鉄郎的な存在だったわけですね。だから、未だに共に旅を続けてるわけで、これから先も未来へ向かって旅をして行くんです。
 
弟が機械工学の学者なので、ワープ(宇宙戦艦ヤマト)についての理論(宇宙の大きさを想定して数式の道筋を書いたもの)を「実証せよ」と(笑)、弟の研究所に送りつけたんです。しばらくすると「あながち嘘とはいえない」と本職がいってくれて。これでもう、どんな人から突っ込まれたって屁理屈がこねられるとね。でも要注意点というのがあって、「ワープ(タイムマシン)は未来には行けるが絶対に過去には戻れない。どんなコンピュータを駆使しても、絶対に答えは未来にしか行けない」と。だから私が、「遠く時の輪の接する所で」という言葉を乱発するのは「今過ぎたこの瞬間が一番遠い未来だよ」と、そういう事なんです。だけど、同じ軸線の上を通ればいいけど、ずれれば今日のお前は明日の俺という事になるわけで、お互いの運命を揺るがしていくわけですね。そういうのが自分でも全部確かめられた上で、SFと想像の世界を展開していくんです。
 
宇宙戦艦ヤマト(銀河鉄道999の新作他も含む自分の作品)は、自分の責任において必ずまっとう致します(拍手)。どうせ創るなら過去を振り返るだけじゃなくて、より拡大し前へ前へと行かないと新しいものを創る意味がありません。65歳(現在の年齢)というと愕然としますけど、これからの15年、20年ぐらいの間が自分の代表作と証するものを創り上げる瞬間だという自覚があるわけです。
去年辺りから元気なうちにライフワークをまっとうし、これで良いという所まで行きたいという強烈な願望が目覚めました。私のキャリアは50年。自分がやった事に対しての責任がありますので、「あ〜俺の一生は面白かった」と最後に笑って死ねるよう、とにかく頑張ります。
私の唯一の願いは、一緒に仕事をしてきた戦友達とお互いに笑って仕事をまっとうできればいいではないかという事。どうか皆さん、応援してください。そして一緒に夢を楽しみましょう。