デザイナー。1930年奈良市に生まれる。
1950年京都市立美術専門学校卒業。カネボウ、大阪産経新聞社を経て、1960年日本デザインセンター創立に参加。 1963年に、田中一光デザイン室主宰。芸術選奨文部大臣新人賞、日本文化デザイン大賞などなど数多く受賞。 1973年より西武グループのアートディレクターとして活躍する。
西武美術館、N.Y.クーパーユニオン美術大学、パリ装飾美術館所属広告美術館、メキシコ現代美術文化センター、ミラノ市現代美術館、富山県立近代美術館、サンパウロ現代美術館、東京国立近代美術館フィルムセンター、バウハウス・アーカイブ・ミュージアムなどで個展を開催。主な著書に「田中一光のデザイン」「デザインの仕事机から」などがある。 2002年1月10日永眠。享年71歳。
普段手にしているもののデザインについて、考えた事ありますか?
私はデザインに関する特別な知識はありませんが、展覧会や日常街で目にするものついては、デザイン的な興味を持って観ています。
あれは確か私が幼稚園児の頃、好きな材料を持参してこいのぼりを作るという工作のために、前日家中を探し回りました。そうしてやっと気に入って手にしたものは、青に緑が重なった水玉模様の包装紙。そう、誰が見てもすぐそれと分かる西武百貨店のものでした。
こいのぼりのウロコが爽やかに、そして鮮やかに輝いていたのは言うまでも有りません。
そう、この包装紙のデザインは、田中一光氏。物心のついた私が初めて触れたデザインがこれでした。
今や駅の構内でも見かけるあの小豆色の無印良品、黄色に黒い字のロフトなどのセゾングループをはじめ、三宅一生、サルバトーレ・フェラガモなど、国内外を問わず多岐に渡る分野で、そのデザイン性は高く評価され、今もなお時代を超えて生き続けています。
「あつ、これ知っている!」という作品がいくつも見当たるでしょう。
生前から交友が深かった建築家・安藤忠雄によって創り上げられた展示デザインは、まさに田中一光の世界。
約24000個に及ぶペットボトルと床に用いられた田中一光ポスター(作品名:明石)のデザインとのコラボレーションで演出された会場は、通常の美術館の展示室とは思えない明るさを放っています。ペットボトルを通して入ってくる青味寄の白い照明が、まるで床の青にプールの水面に太陽光を受けて輝いているよう。
計算し尽くされ、微塵の揺るぎもない田中一光のデザイン作品が、眩しいくらいに鮮やかに浮かび上がり、見るものに語りかけてきます。
田中一光の仕事(デザイン)の源である、この机。ここから、幾つもの素晴らしい作品が生まれてきました。
机上には郵便物や予定の書き込まれた手帳が。そしてグラスには愛用の筆具(モンブラン)がいくつも並べられ、引き出しにはインクが収められています。亡くなる当日の昼まで、この机とともに共に仕事をしていたそうです。まるでちょっと離席しているだけのよう。

「田中一光回顧展 われらデザインの時代」
朝日新聞社

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